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不動産の「2022年問題」とは?生産緑地解除でどうなる?

不動産業界

2021.06.23 / 最終更新日:2021.08.24

現在、不動産業界などで話題となっている、「2022年問題」というのをご存知でしょうか?2022年に、「生産緑地」全体の約8割にあたる面積の営農義務が終了する中で、土地の価格の急激な下落や周辺マンションの価値の下落などの影響が懸念されているのです。

今回は、不動産の「2022年問題」についてや、生産緑地解除によってどのように変化するのかについて詳しく解説していきたいと思います。

 

2022年問題とは?

 

それでは早速、2022年問題とは具体的にどのようなものなのかについて解説していきましょう。先ほども軽くご紹介した通り、2022年に生産緑地が営農義務が終了する事になっています。

これに伴い、固定資産税や相続税の優遇措置がなくなり、土地が一斉に売却されて価格が下落するという仮説があるのです。この2022年問題を、より具体的に説明すると「生産緑地の2022年問題」と言えます。

都市圏の市街化区域にある農地は、「生産緑地」と「宅地化農地」に分けられていて、各自治体から「生産緑地」と指定された土地に関しては、固定資産税が一般農地の水準になり、相続税の納税猶予が与えられるというメリットがあります。

生産緑地の指定は、1991年から開始され、2022年には多くの土地が指定から30年が経過します。生産緑地は、指定から30年経過するとその土地を売却する事が出来るようになるので、条件を解除された農地がマンション用などの土地として大量に売りに出される可能性が高いと言われているのです。

その結果、不動産自体の地価が暴落して、賃貸不動産の空室が増えると予想されており、この予想される状況の事を2022年問題と呼びます。

 

生産緑地とは?

 

では次に、2022年問題に大きく関わる、生産緑地について解説していきましょう。生産緑地とは、都市計画による地域地区である、生産緑地地区の事を指します。市街化区域内の500㎡以上の農地または山林で、営農が継続可能な一定の要件を満たすものについて、地方公共団体が指定した土地の事を生産緑地と呼びます。

一定の要件は、下記の通りとなります。

・良好な生活環境の確保に相当の効果があり、公共施設等の敷地に供する用地として適しているもの。
・500㎡以上の面積があるもの。
・農林業の継続が可能な条件を備えているもの。

一般的に、市街化区域内の農地等は、固定資産税や都市計画税について宅地並みの課税を受けますが、生産緑地はその対象とはならず農地並みの課税となります。

しかし、生産緑地は、税法上で優遇されている事から、自由に売買する事が制限されており、農地用としての利用が義務付けられています。原則として、30年間は農地等から宅地転用が出来ず、建物建築などをする場合は市町村長の許可が必要になります。

 

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生産緑地解除が不動産に与える影響とは?

 

では次に、生産緑地解除が不動産に与える影響について、解説していきたいと思います。

 

宅地の過剰供給で地価が下がる

まず1つ目は、宅地の過剰供給で地価が下がるという事です。生産緑地の指定が解除されれば、宅地として一斉に土地が売却される可能性があり、この事により土地の過剰供給が発生し地価が下がってしまうのです。

供給量が増えれば、それだけ土地の値下げ競争が起こる可能性も高いですよね。また、生産緑地の所有者には高齢者が多く、農業を継続できないケースも多いと考えられます。そのため、土地を所有し続けるよりも、土地を売るという選択をする人が増えてもおかしくないのです。

 

中古マンションの価値が下がる

2つ目は、中古マンションの価値が下がるという事です。生産緑地の指定解除は、地価の下落だけでなく、周辺の中古マンションの価値も下がる可能性があります。本来、生産緑地の農地が営農を辞める場合は、原則として市町村が時価で買い取ることになっています。

しかし、財政難などで市町村が買い取れない場合もあります。こうした場合、農業従事者に対して売買の斡旋がなされる事になっていますが、買い手が付かないことも多く、そのような場合は土地所有者が業者を通じて個人や企業などへ売却を検討するケースもあるのです。

その結果、多くの土地が市場に出回ることになり、購入された土地に新築マンションが建てられる事になります。そして数年後には、周辺の中古マンションは売れにくくなる可能性が高いというわけなのです。

 

郊外のファミリー向け物件が影響を受けやすい

そして3つ目は、郊外のファミリー向け物件が影響を受けやすいという事です。ファミリーの場合、車を持っている事が多いため、駅から離れた場所でも賃貸としての需要があります。

そのため、生産緑地の地主が、跡地にファミリー向けの賃貸物件を建てれば、すでに郊外にファミリー向けの物件を所有している人にとっては、空室が目立つようになってしまい、賃料の下落が高まるというリスクがあるのです。

 

2022年問題に対する国の対策

 

それでは最後に、2022年問題に対する国の対策について解説していきましょう。国の対策としては、税制改革に合わせて農地が一斉に売り出されるリスクを軽減させるため、下記のような対策が行われています。

・生産緑地法の改正で、優遇の延長を行う。
・都市農地賃借法で、生産緑地を貸しやすくする。
・建築規制の緩和で、営農以外の選択肢を増やす。

 

まとめ

 

さて今回は、不動産に影響が出ると懸念されている「2022年問題」について、詳しく解説してきました。専門家の間でも、様々な議論がなされている2022年問題。

偏った情報に惑わされることなく、冷静に時期を判断する事が重要です。国の対策の動きにも敏感になり、今後の動きにアンテナを立てながら土地の売買を進めていくと良いでしょう。

 

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