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農地取得や貸借する際の下限面積要件を廃止について説明します。

不動産情報

2023.07.21 / 最終更新日:2023.07.21

令和5年4月1日から、「農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律(令和4年法律第56号)」が施行されました。この法律の施行により、農地取得や賃借する際の要件として定められていた下限面積要件が廃止になるのですが、具体的な内容が分からないという人も多いと思います。

そこで今回は、農地取得や賃借する際の下限面積要件の廃止について詳しく解説していきたいと思います。これまでの要件の中には、「農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律」の施行後も、引き続き継続される要件もあるので農業に関わっている人は覚えておく必要があります。

 

農地取得や賃借する際の下限面積要件とは?

 

それでは、農地取得や賃借する際の下限面積要件について解説していきましょう。まず、農地の売買や貸し借りなど権利を取得する時には、農地法第3条により農業委員会の許可が必要になります。

この許可を得るためには、様々な要件が定められているのですが、その中の1つに許可後の耕作(経営)面積が下限面積以上になる事という「下限面積要件」というものがあります。

これは、耕作(経営)面積が小さすぎると生産性が低いだけでなく、農業経営が効率的かつ安定的に継続できない事が予想される事から、一定の基準以上の耕作(経営)面積を確保しておく必要があるのです。

 

下限面積要件廃止の目的

 

では次に、下限面積要件廃止の目的について解説していきましょう。下限面積要件を廃止する目的としては、農業従事者の減少や高齢化が加速している中で、耕作放棄地を解消し効率的な農業の展開を支援するためというものが挙げられます。多くの人材が、農地を取得しやすいようにする事で、農業への新規参入者を増やす事が目的と言われています。

 

農地取得に引き続き継続となる要件は?

 

下限面積要件は廃止になりますが、その他の要件で引き続き継続となるものについて解説していきたいと思います。

農地取得に関しての要件は、下限面積要件だけではなく他にもいくつか定められているものがあります。それらは、廃止されず引き続き継続されるものなので、間違えないようにしましょう。

 

全部効率利用要件

まず1つ目は、全部効率利用要件です。この要件は、権利を取得する者または、その世帯員等が保有している農地も含め、全ての農地を効率的に耕作するというものです。判断基準としては、下記のようなものが挙げられます。

・機械(所有、リース含む)、労働力(雇用者を含む)、技術(雇用者や委託先を含む)が十分に確保されていること。
・耕作の具体的内容を明らかにしていない場合は、資産保有目的、投機目的等で農地等を取得しようとしているものと考えられる事から、農地全てを効率的に利用するとは認められない。
・自家消費を目的とした場合であっても許可は可能だが、農地の一部のみで耕作を行う場合や近傍の利用上の条件が類似している農地の生産性と比較して著しく劣ると認められる場合は、農地の全てを効率的に利用するとは認められない。

 

農作業常時従事要件

2つ目は、農作業常時従事要件です。これは、権利を取得する者またはその世帯員等が耕作に必要な農作業に常時従事することというものです。判断基準は、下記のようなものが挙げられます。

・原則は、農作業に従事する日数が年間150日以上であること。
・農作業に従事する日数が年間150日未満の場合でも、農作業を行う必要がある限りその農作業に従事していれば、常時従事すると認められる。

 

地域との調和要件

そして3つ目は、地域との調和要件です。これは、地域の農地の集団化、農作業の効率化、その他周辺の地域における農地の効率的かつ総合的な利用に支障が生じないことというものです。判断基準としては、下記のようなものが挙げられます。

・集落営農や経営体がまとまった農地(集団化している農地)を利用している地域で、その利用を分断しないこと。
・地域の農業者が協力して水田等の水管理をしている地域で、水利調整に参加すること。
・無農薬、減農薬栽培が行われている地域で、農薬を使用しないこと。
・集落で一体となって生産する特定の品目の栽培に必要な、共同防除等の営農活動に支障が生じないこと。
・地域の水準よりも極端に高い借賃で農地を借り受け、地域の一般的な借賃を著しく引き上げないこと。

 

まとめ

 

さて今回は、農地取得や賃借する際の下限面積要件について詳しく解説してみました。下限面積要件の廃止は、高齢化や農業従事者の減少を食い止めるために、農地取得のハードルを下げる事で農業への新規参入者を増やす目的で行われました。

その他の要件に関しては、引き続き継続されますが、今後さらに高齢化が進むと予想されている日本において、農業を守るきっかけになるものと言えるでしょう。

 

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